ここではお口の中のできものなど、親知らずと顎関節症以外の歯科口腔外科領域の疾患への当院における治療や対応について、ご説明させていただきます。
お口の中のできもの
口の中のできものと言っても口内炎、水疱、囊胞、腫瘍類似性疾患、前癌病変、腫瘍(良性、悪性)、などさまざまな種類や疾患があります。
口内炎だと思っていたようなものが実は癌ということを耳にしたことがある方もいると思います。
できものに関して気になるようであれば放置せず、歯科医院で診てもらうことが重要です。
悪いものでないと分かれば安心してお過ごしいただけますし、万が一、悪いものの疑いがある場合でも迅速に大学病院や専門病院を紹介させていただき、早期治療につながるように努めることができます。
当院を地域の患者さん達が気軽に相談できる歯科医院として認知していただけましたら幸いです。
口内炎
口内炎といっても、その原因はウイルス性、天疱瘡・類天疱瘡・扁平苔癬などの自己免疫疾患、粘膜を咬んで細菌が入り込みできたり歯や義歯の尖った部分が当たってできる機械的刺激によるもの、薬剤、アフタ性口内炎などの原因不明なものと様々にあります。
また、他の全身疾患の症状の1症状という可能性もあるため、見極めが大切です。
当院の対応・治療
原因があれば除去します。ウイルス性であればそれに対応する抗ウイルス薬を処方します。うがい薬やステロイド配合の軟膏を処方することが多いですが、口内炎の消炎作用がある漢方薬を処方することもあります。いずれにしても口腔内を清潔に保つことが重要です。
囊胞(のうほう)
囊胞とは体の中に生じることのある袋状(膿の袋)の疾患を指します。口腔外科領域においても例外ではなく、顎骨や粘膜などの軟組織に生じます。また、歯と関係のある囊胞やそうではない囊胞があります。
癌のような悪いものではありませんが、放置することにより長い年月を掛けて少しずつ大きくなっていきます。骨が溶けて腫れてきたり感染が起きて分かることもあります。
歯根囊胞
以前に神経が抜かれている歯の根っこの先端部分が感染して膿み、膿が袋状に溜まることで痛みや腫れ、違和感が出る病気を歯根囊胞といいます。
歯根囊胞に対しては、小さいものなら根管治療(根っこの治療)、大きくなってきたものは切開をし、嚢胞摘出術とその感染した歯の根っこを除去する歯根端切除術を行います。
歯根端切除術とは、膿の溜まった袋状の病巣を除去すると同時に感染のある根っこの先端部分を外科的に切除してクリーンな部分のみにすることで症状の改善を図る小手術です。
根管治療をしても良くならない、被せ物を外したくない場合に行う手術です。
粘液囊胞
唇を噛んでしまったりした場合に粘液のようなふくらみができた場合に粘液囊胞(粘液瘤)があります。
口の中には無数の唾の腺(小唾液腺)があり、その腺が壊れることにより水風船のように膨らんだものをいいます。自壊してなくなったりまたできたりを繰り返します。
処置としては摘出をします。
良性腫瘍(りょうせいしゅよう)
良性腫瘍は、命に関わることはほとんどないできものです。顎の骨に生じる腫瘍と口の中の軟組織に生じる腫瘍があります。悪性腫瘍のように転移はしませんが、中には再発性の高い良性腫瘍もあり、放置することで少しずつ大きくなっていきます。また、稀に悪性化する種類の良性腫瘍もあります。
当院の対応・治療
線維腫、脂肪腫、乳頭腫などの軟組織の良性腫瘍に関してはメスや電気メス、レーザーなどで切除します。
前癌病変
前癌病変とは、今は癌ではないけれども、将来的には癌化する可能性が高い病変をいいます。
お口の中の前癌病変には口腔粘膜の一部が白く角化する白板症、粘膜組織の一部が赤みが強い状態になる紅板症があります。
前癌状態
口腔内では頬の粘膜に網目状の白い線状の病変が見られる扁平苔癬、貧血、梅毒など癌になる確率が比較的高い病的状態のことです。
悪性腫瘍とは
一般的には癌と呼ばれる悪性腫瘍は命に関わる重大な疾患で、周囲のリンパ節や組織に転移をしたり、手術をしても再発したりする可能性があります。
口の中にできる悪性腫瘍には、主に扁平上皮癌や唾液腺から発生する癌があります。
扁平上皮癌では、口唇癌、舌癌、口底癌、歯肉癌、頬粘膜癌、硬口蓋の癌などがあり、このうちでは舌癌の発生頻度が最も高く、次に歯肉に多いです。
当院の対応・治療
悪性化の可能性のあるもの、悪性と思われるものに関しては、迅速に近隣の大学病院や大きい病院へ紹介させていただき、なるべくの早期発見・早期治療につなげる流れとなります。
口腔乾燥症
口腔乾燥症とは
様々な原因から唾液の分泌量が低下して、口の中が乾燥する病気です。
- やけに口が渇く
- 口にネバネバ感がある
- 口臭が強くなった
- 味覚がおかしい
- 舌がひび割れた感じになっている
- 口の中や舌にヒリヒリする感じがある
この様な症状がある場合には口腔乾燥症の疑いがあるため、全身疾患と関係があるか調べたり、唾液や涙の量を測る検査を行います。また、唾の腺(小唾液腺の一部)をとって病理検査に依頼して調べることや、血液検査が必要な場合もあります。
口腔乾燥症の治療
生活指導のほか、うがい薬や人工唾液、お口の渇きを抑えるような漢方薬が処方します。
口腔乾燥の症状からシェーグレン症候群が疑われる患者様には全身的な検査が必要ですので市内の大きな病院や大学病院に紹介をさせていただきます。
舌の疾患
口腔カンジダ症
カンジダ・アルビカンスという真菌によっておこります。
灰白色または乳白色の偽膜が出現し、ガーゼなどで拭うと取れます。
治療法は口の中の清掃と抗真菌薬とうがい薬を処方します。口腔内を清潔に保つ必要があります。
地図状舌
健康な舌には舌のつぶつぶ(舌乳頭)がありますが、それが萎縮や消失し、赤い地肌が地図上に見える状態です。毎日、形が変わりますが原因は分かっていません。
痛みやヒリヒリする場合にはうがい薬や軟膏を出します。
※その他にも溝状舌、黒毛舌、貧血による舌のヒリヒリ感、舌痛症などの舌の疾患があります。
骨隆起
骨隆起とは
骨隆起とは、顎の骨の膨らみをいいます。上顎の真ん中にできる口蓋隆起と、下顎の内側に多くは左右対称にできる下顎隆起とがあります。
原因は明らかにはなっていませんが、歯ぎしりや噛み締めとも言われています。数年・数十年と徐々に隆起が大きくなっていく場合が多いのですが、そういうものだと思って気がつかずに過ごしてきている方がほとんどです。
ボコボコッと硬く骨が隆起して、押し上げられた歯ぐきは薄くなるので、表面に物が当たると痛みを感じます。
除去した方がよい骨隆起について
骨隆起は悪いできものではありませんので、放っておいても問題がないものなのですが、除去した方がいいケースがあります。
- 入れ歯を入れるのに骨隆起が邪魔になるケース
- 骨隆起が大きすぎることで喋りづらかったり、発音障害が出てしまっているケース
- 大きく張り出した骨隆起と顎の骨との間に食べものが挟まりやすく清掃困難なケース
小さい突起や骨鋭縁、通常サイズの下顎隆起に関しては当院で手術をさせていただきますが、上顎の大きな範囲に渡るような口蓋隆起は大学病院や市内の大きな病院に紹介させていただきます。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に呼吸が止まる病気です。
睡眠時にいびきや無呼吸の症状があり日中に眠気などの症状があり、1時間に無呼吸が5回以上あるものをいいます。日中の起きている時間に酷い眠気に苛まれます。
睡眠時無呼吸症候群の治療法
小~中等度の睡眠時無呼吸症候群の治療として有効なのが、スリープスプリントです。
スリープスプリントを就寝時に装着していただくことで呼吸が妨げられないようにし、睡眠がとれるようにします。
スリープスプリントを製作するにあたって、耳鼻科を受診していただく、もしくは検査を依頼させていただく必要があります。
耳鼻科から睡眠時無呼吸症候群の診断名とスプリント製作依頼の記載がされた紹介状を当院にお持ちいただくことで、スリープスプリントの製作が可能になります。
外傷
お口の中やお口周辺の怪我にも当院にて対応いたします。
- 唇・頬が切れたりケガしたりした場合
- 口唇裂傷
- 歯の脱臼
- 歯の打撲
- 顎の脱臼(顎が外れた)
裂傷や歯の脱臼で出血を認めれば、止血処置、必要があれば縫合することもあります。
骨折などの疑いがあればレントゲン撮影をいたします。
口周りを強く打つなどして歯が抜け落ちてしまった場合には、歯を歯の保存液や生理食塩水に入れて、そういった類のものが手近にない場合にはお口の中に入れて、なるべく早く受診してください。
歯が抜け落ちてから受診までの時間が短いほど、歯を整復して保存できる確率が上がります。