予防歯科とは、虫歯や歯周病などの歯科疾患にかかってから治療するのではなく、そうならないための予防となる歯科的処置をいいます。
健康な歯とお口で一生美味しくお食事をいただけるQOL(Quality of life:生活の質)の高い人生をお過ごしいただくためには予防歯科の実践が効果的で、既に欧米諸国では歯科医院での定期的なチェックと予防歯科が当たり前となっています。
よく、歯科の治療が終わった際に、「次回はまた、3ヵ月~4ヶ月後に診せてください」とか「定期的に来院してください」といわれたことのある方もいると思います。
「どうして痛くもないのに3ヶ月おきに来なければならないの?」、「お金儲けのために予約を入れようとしているのでは?」と思われた方もいるのではないでしょうか?
これにはちゃんとした理由があります。まず、歯のことから説明すると、歯ブラシでは約60%の汚れを落とすことができますが、完全には汚れの除去は難しく、フロスを使用しても約85%までしか落とせないことが分かっています。ですので、残りの15%は専門的な歯科医院に定期的にチェックしてもらい、受診して取り除いてもらいましょう。その目安が3~4ヶ月なのです。
もう一つは特に全身疾患のある方に当てはまることなのですが、歯周病の定期健診で年4回以上の歯科通院をしていた人は、大幅な入院費用と入院回数の減少をもたらしたという報告があるのです。そうすると3ヵ月後が理想な時期となるわけです。
日本は世界有数の長寿国であることは国民に知られていますが、先進国の中で歯の寿命は最低クラスであることはご存じでしたでしょうか?
欧米諸国では痛くなったら歯科に行く治療ではなく、メインテナンスに力を入れており、歯の残存本数が向上しております。
図のように欧米諸国では70~90%の人が定期健診・クリーニングを受けており、80歳でも15本~20本以上歯が残っているというデータがあります。
一方、日本で定期健診・クリーニングを受けている人はわずか2~5%あまりで80歳以上の方の歯は平均で約8本しか残せていない状態です。
8020運動などで年々、歯の残存指数は増加しており一見、データ上では改善しているように思いますが、先ほどのメンテナンスや定期健診の割合からすると、歯が残っていても実際は歯周病に侵された病的な歯が残存している側面もあり、そのことで返って口腔内や全身疾患の悪循環を引き起こしている可能性が高いといえます。
それは、ひいては歯周病や歯の欠損により全身的な病気の増加につながってくると考えます。
たかはし歯科クリニック北本では、治療が終わった患者さんにも定期検診をお勧めしています。定期検診を受けることで口腔内疾患・関係する全身疾患の予防や早期発見・早期治療にも繋がり、結果的に患者さんの通院期間は短く、治療費もおさえることができるからです。
近年ではようやく日本でも予防歯科が注目されるようになり、徐々に取り入れられるようになってきましたが、日本では症状が出てから治療をすることが当たり前となっており、健康保険制度でも予防歯科は取り入れていないので認知度はまだまだ低いのが現状です。しかし、実際に歯を守るために必要なことは、虫歯・歯周病などにかかる前や治療完了後のメンテナンスを行うことにより「治療」よりも「予防」することなのです。
歯が痛くなってから治療する「治療型」よりも、現在の健康な歯を守っていくための「予防型」が大切と考え、これ以上、歯を失いたくない患者さんをはじめ、健康なお口をこれからも末永く守っていきたい患者さんに通っていただきたいと考えております。当院はこれらが一番に大切だと考え『予防歯科』に取り組んでおります。
内容としてはセルフケアでは取り切れない歯の着色、汚れがこびりついたバイオフィルムを落とし、本来の白く輝く歯を取り戻す「デンタルクリン」を取り入れています。
歯を削って詰めるという繰り返しはもう、おしまいにして健康な歯や歯茎を保っていきませんか?
TBI(ブラッシング指導)
TBIとはTooth Brushing Instructionの略で、ブラッシング指導のことですが、ここでは特に歯科衛生士などの国家資格を持つ、歯科の専門家が行うブラッシング指導をいいます。
歯磨きくらい習わなくても出来る…わざわざ指導なんてして貰わなくても…とお思いの方もいらっしゃることでしょう。
しかし、磨けていると思っていてもご自分では気がつかないようなところに磨き残しがあったり、歯ブラシの当て方や力の掛け方など、知らず知らずのうちに、歯磨きに何らかのクセがついてしまっている方も少なくありません。
そのようなちょっとしたポイントを知るだけでも、ブラッシングの効果は格段に上がりますので、是非、正しいブラッシングの再確認、また再習得の機会にしてみましょう。
PMTC
PMTCとは、「歯科のプロフェッショナルによる機械的な歯面クリーニング」をいいます。
P=Professional (歯科医師・歯科衛生士などのプロフェッショナルによる)
M=Mechanical (機械的な)
T=Tooth (歯の)
C=Cleaning (クリーニング)
PMTCの目的
PMTCの大きな目的はバイオフィルムの除去で、ここでいうバイオフィルムとは、歯の表面にヌルヌルとした塊になって溜まったプラークをいいます。
これは虫歯と歯周病の原因になるもので、うがいなどで除去することはできませんが、機械的に清掃することで分解・除去することができます。
PMTCは、歯の表面についた歯垢や歯石、色素沈着などを専用の機材で取り除き、歯面を磨き上げたのちに、細菌の活動を抑え歯質強化に効果のあるフッ素を塗布します。
PMTCで使用する器具は様々ですが、歯面用のブラシやラバーカップやラバーチップ等の器具や研磨ペーストなどをプロフェッショナル目線で適宜使い分け、歯の表面を磨いていきます。
歯石除去
普段の歯磨きでもプラークが取れずに留まり続けると、いずれ硬くこびりつく歯石に変化します。こうなるともうブラッシングではとることができないので、歯科医院での除去作業が必要になります。
口臭の除去・予防
当たり前のことですが、口腔内を清潔に保つことは口臭の除去や予防につながります。
それでも、改善が見られない場合は消化器官の疾患を疑うこともあります。
成人病の予防・エイジングケア
白い歯や健康的な歯肉の色は顔色や表情を明るく見せ、若々しさのアップにつながります。
フッ素塗布
フッ素を歯面に塗布することで、歯質の強化、虫歯の予防への効果が期待できます。
フッ素を使用するメリット
フッ素は天然の元素で、歯質を強化する効果があるため、フッ素を使用することで虫歯予防の効果が期待できます。
フッ素が歯に塗布されると、歯のハイドロキシアパタイトという構造にフッ素が取り込まれて安定性の高いフルオロアパタイトという構造になることで、虫歯になりにくい歯になります。
フッ素により歯垢の中の虫歯原因菌の働きは弱まり、酸を作り出す力が抑えられて、歯が溶かされる、すなわち虫歯が作られることを抑制します。
さらにフッ素には唾液に含まれるカルシウムやリン酸を歯に度取り入れ、再石灰化を促進することで歯を修復する働きもあり、これにより、初期の小さな虫歯ならば治癒することもあります。
フッ素の効果的な使用法
フッ素はPMTCで歯の汚れを落とした後に塗布する方が効果を期待できます。
プラークなどの汚れが残っている、すなわち細菌がヌルヌルとした菌膜を作っている状態ではフッ素を歯面に取りこむことが出来ません。
そこでまずはPMTCにより歯の汚れを落とし歯面を滑らかにして、それから塗布した方がフッ素の取り込みが良くなり歯質の強化につながります。